トップ西工研究室トピックス機械式AT(2)

西工トピックス
電子制御機械式ATの記録 (2)

4.「日野EEドライブ」
EE Drive 電気エアー式のFFシフトをベースに、機械式AT化しています。セレクターは直線式をベースとしながら、HOLDがあり、ギヤが完全マニュアル操作可能です。一部乗用車に設定されているものと機能面では全く同じです。日野の特徴として、クラッチが湿式(オイルスプレークラッチ)であることで、当初はクラッチ寿命は半永久的とPRされました。そして、この為のオイルクーラまで装備されており、専用のルーバーが必要になることで、外観からでも容易に識別可能な唯一の機械式ATでした。
 上写真のホイールベース間・車両後部側ルーバーがオイルクーラです。この他の日野の特徴として、車庫入れなどに便利なインチング(トルコンATのクリープを再現する)機能、1速発進する機能などがありました。もちろん坂道発進補助装置(HAS)も装備されています。
EE Drive 西工での架装例は、西鉄向けがP-HT235BAにて2次にわたり10台程度納入された他、よかトピア向けガイドウェイバスのP-HU235BAも2台あり、これもEEドライブを装着しています。この他では、神戸市交通局向けに、P-HT233BA(1台)とU-HT/HU2MLAA(HTが2台、HUが1台)が存在していました(いずれも松原(営))。
 実際の評価では、かなり変速ショックが大きく、変速に要する時間も長いため、厳しい見方が多かったのも事実です。但し、それをバネに、末期はかなり改善されてきたようですが、悲しいかな、その頃にはほとんど採用例がありませんでした。また、クラッチも実際には交換が必要となった事例もあったようです。
 ちなみに、EEドライブの動作ログ収集装置はDDレコーダという名称です。
5.「三菱MMAT」
MMAT ATのセレクターは、ほとんどFCT(電気エアー式)と同じながら、右側に坂道発進補助装置の動作スイッチがあることで識別可能です。シフトパターンは、R〜3速まではHOLDでM/Tと機能的には同じ、4速の部分がパワーモード(4速までしか入らない)、5速の部分がドライブ(5速まで入る)となっています。
 西工の納入例としては、西鉄向けが一般車でP-MP218Mが2台、よかトピアガイドウェイバスのP-MP618Mが2台、その他では大阪市交通局向けがU-MP618K(2台・酉島(営))、京都市交通局向けがP-MP618K/PおよびU-MP618K/Pでまとまった台数入っています。西鉄向けの一般車は、右側がすべて2人掛けという閑散路線仕様なのが特徴です。
 動作速度やタイミング等は、他社に比べて特に悪いという訳ではありませんが、やはりドライバー氏の賛同を得られるほどではなかったようです。電磁弁のカチカチという動作音が特徴でした。なお、この後の世代としてINOMAT-IIが存在しており、バスへの設定もありましたが、西工での架装例はありません。
6.「日産ディーゼルE-MATIC」
E-MATIC 機械式ATでは最も後発となったのが日デ。セレクターはいすゞ同様に直線式で、乗用車と共通イメージの部品を用いています。U33系以降に設定されていました。
 西鉄向けの実績は編集子では確認できていません。大阪市交通局向けにU-UA440HAN(2台・阿倍野支所→住吉(営))の他、京都市交通局向けでP-UA33KとU-UA440HAN(いずれも烏丸(営))にまとまった数が在籍していました。後発だけあって、動作はこなれています。タタタタタ・・・という音が特徴。上写真のリヤ窓から見える大きな制御ボックスがE-MATICのものです。

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