トップ西工研究室トピックス機械式AT(1)

西工トピックス
電子制御機械式ATの記録 (1)

 皆さんは「電子制御機械式AT」と聞いてピンと来ますか?乗用車や最近のノンステ等で使用されている「トルコンAT」ではなくて、一般的なマニュアルトランスミッションとクラッチ機構を有し、それらを自動で制御して変速するというものです。結局、シティバスの世界では過渡的な技術として、本命たるトルコンATに主役の座を奪われることになったのですが、実はこの機械式ATを搭載した西工車が存在していました。このページは、その一端を明らかにしようとするものです。
 なお、架装実績は、編集子の知る限りですので、他にあるかも知れません。
1.機械式ATとは
 その構造を簡単に説明すると、アクセル開度や車速から適切なギヤを選択し、電磁弁を介してクラッチ、トランスミッションの自動操作を行うものです。また同時にエンジン回転数も電子ガバナ採用により制御し、最適な燃費走行を実現します。以下に、その特徴をまとめました。

長所 ・2ペダル操作によるイージードライブ
・トルコンのようなクリープがない
・エンジンブレーキも作動
・伝達ロスがないため、燃費はMT車と同等以上
・車種によってはマニュアル操作可能
短所 ・変速タイミングがイマイチ
・変速ショックが大きい
・燃費が実際にはMTを下回っている例がある
・ディーラー以外での分解性備ができない

 結局、変速フィーリング改善が思うように進まず、横浜市や京王帝都、関東バス、近畿日本鉄道など一部で本格採用されたものの、ドライバー氏から総スカンを喰らい、シティバスからはその姿を消すことになりました。ただし、改良版は一部トラックに搭載され、燃費改善ツールとして活用されています。
2.「いすゞNAVi5」 (第一世代)
NAVi5 そもそも機械式ATを最初に開発したのは、いすゞでした。当初は乗用車向けだったものが、大型路線バス用に改良されてP-LV系に設定されたのです。セレクターは乗用車のATと同じ直線式で、一部ギヤはホールドがあるものの、基本的にATのみ。
 西工での架装実績は、西鉄向けのP-LV314M(2台・桧原(営))と、大阪市交通局向けのU-LV224K(2台・守口(営))が挙げられます。実は、機械式ATの中ではいすゞが最も良いフィーリングであると言われており(実際に編集子もそう思う)、マニュアル操作で補う必要がないとするドライバーが多かったとの由。
 機構的には、当初は油圧駆動が多かったのも特徴で、ほとんど音もなく変速していく姿は感動的でさえありました。U-車ごろからエア圧駆動に変更され、排気ブレーキのような音で変速します。
 構造的に坂道発進が難しいことから、ブレーキペダルから足を離してもエア圧が維持され、アクセルを踏み込むと同時に解除されるというHSA(ヒルスタートエイド)が装着されています。この機構だけは便利なので、他の一般MT車にも展開されているのはご承知の通り。
3.「いすゞNAVi5」 (第二世代)
New NAVi5 西工向けでは、大阪市交通局向けのKC-LV280L(2台・守口(営))がほぼ唯一と思われます。第一世代でも非常に秀逸であったNAVi5が更に進化しており、全くストレスを感じません。例えばアクセル開度に応じて変速ポイントを変化させており、パワーモードの全開だとレブまできっちり回します。機構的にはACTとほぼ同一と見られ、動作音は(KC-LV以降の)ACTと余り区別が付きません。過渡的技術として片付けてしまうには、余りにもったいない仕上がりです。

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