相互供給モデル |
三菱ふそうと日デの相互供給モデルとしては初の本格的統合車種になる、中型RM(AR)と中型ロングJP(AJ)が登場しました。エンジンは三菱ふそうが製造し、その他のコンポーネンツは日デが設計製造、日デが完成車を両社に供給するスタイルです。
ボデーも日デが担当することから、西工ボデーが日デのみならず三菱ふそうでも標準仕様扱いとなり、これは責任重大です。
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久々の本格的改良 |
これを機会に、デザイン面や機構面など様々な観点からボデー各部が改良されました。まず目に付くのは、リヤの変更。ふそうのエンジンを搭載していることで、点検扉形状はふそう独特のスタイルとなり、バンパーも大型化されてその中に汎用品のランプが並び、結果としてPA-MKの富山ボデーに極めて似たデザインとなりました。
補助ストップランプもLED式のものが取り付けられていて、これは貸切車と同じパーツを使っています。ともあれ、このリヤスタイルがふそうエンジンであることを強烈にアピールしていると言えましょう。
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58MC系以来の改良 |
そして一番の注目は、58MC発売開始以来変化のなかった点にも改良の手が及んだことにあります。
まずは側面窓構造。従来から58MC系のサッシ式はスマートなデザインで、ライバル各社が10年以上遅れてようやく追従してきたというのが実態ですが、低床化の進展とともにニーズも変化し、今回、窓構造を全面的に一新しました。サッシ式をベースに、上側の引き違い窓はサッシレス化。国産ボデーでは最後の採用です。また、開口部面積も若干増加。ただし、T字窓などの場合はサッシ式を継承。
車内側では窓下の押さえ(元々は横引きカーテン時の下側カーテンレールだった)も新規デザインに。更に、引き違い部分と固定部分との間にハーネスを収納できるようにし、降車ボタン等が容易に設置できるようになりました。
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まだまだある改良点 |
窓構造と同時に、屋根構造も一新。96MC導入時に天井板を1枚ものにして雨漏り対策をしてきましたが、今回は寸法そのものを見直し、側面の雨樋のラインが少し下がって、多少ながら深屋根に見えます。これは低床化の関係と考えられます。そして雨樋も従来のボデーへ直接溶接というスタイルから、黒の独立パーツに変更され、防錆と見付け向上を図っています。つまり、この新ボデーは雨樋が黒であることで識別可能です。
車内のクーラ用風洞は、デザインこそ従来同様ですが、折り線のRを大きくしています。このほか、乗降扉(前・中とも)周囲の上側のRも大きく取られています。低床化に伴いドア周囲の剛性を上げる必要があるため、補強を入れているのではないかと思われます。
また、日デの中型系だけ遅れていた、新規制車共通の改良点も今回適用されています。すなわち、戸袋窓が接着式の大型となり、側面窓最後部は必ず接着式の固定窓が存在するという点です。
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雨樋の新旧を比較してみました。左が新ボデー。従来の雨樋では雨水を受け止める容積が少なく溢れる場合があり、ボデー前部だけ、或いは全長にわたって特注で大型雨樋に対応してきました。
今回は標準で大型相当としており、地味ながら優れた改善点です。また、天井周囲の雨樋だけでなく第1柱の縦の雨樋も黒パーツ化されています。
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まとめると。 |
前面については、新規制車導入時にマイナーチェンジしているので今回はそのまま継続。リヤのMK風デザインに関してはともかく、その他の改良要素は大型車への展開も当然期待される内容であり、96MC以来のメジャーな改良と言えそうです。但し、ワンステとノンステのボデーはほぼ共通であり、識別は従来になく困難となりました。
しかし、一方で期待されたフルモデルチェンジは見送られ、結局25年を経てなお同じボデー断面線図を使用しつづけることになりました。
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