銘板あれこれ |
日本の制度では、自動車はシャーシメーカが品質保証することになっているため、いわゆるコーションプレートの類いはシャーシメーカのものがあればそれで十分事足ります。しかし、バスに限って言えば、ボデーメーカーの分担範囲の方が大きいこともあって、シャーシとは別にボデーの製造番号も付与される例が多く見られました。
西工では、シャーシごとにを設定して、独自の製造番号を附番してきました。それを表すボデー製造銘板が、シャーシ銘板と並んで車内前部に取り付けられています。
このような製造銘板のほかに、単に西工製を示すための車外取付用の銘板もあります。川重製では川マーク、日野車体の青い「Hino Body」や、富士重工の「○フ」マークなどが知られています。ここでは、西工の銘板あれこれを見てみましょう。
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ボデーの製造銘板 |
ボデーの製造番号を示す銘板です。型式欄は通常何も打刻されません。製造番号欄は、「67-5」などのような西工の製造番号が入ります。製造年月欄は、和暦で「1-11」などのように年〜月の順で打刻されます。昭和との混同を防ぐ意味からか、平成10年10月頃から「H12-2」などのように、最初にHが入るようになりました。
打刻される文字は、長らく西工独特の書体で、数字の3は、ひらがなの「ろ」に近い形になっています。また、全般に打刻が強めで、まれにさっぱり判読できないものもありました。ちなみに、シャーシメーカーの銘板打刻も西工で行うことから、同じ銘板でも随分個性がありました。ただ、打刻機の入れ替え後は他社同様のスマートな文字になり、随分判読しやすくなりました。
ちなみに、乗用車などと同様に、シャーシ番号の正式な打刻はシャーシ側にあります。
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車外取付用の銘板 |
西工と言えばコレ!という方も多いのではないでしょうか。他メーカと同様に、左前輪後側のボデー裾にリベット止めされている銘板で、そう言えば西工は小倉だったなぁ、と思い出させる表記です。時代を感じさせる書体と、NSK「ボデー」という表現で、創業初期から変わらない西工のアイデンティティと言えます。
多くのユーザでおなじみの銘板であった反面、肝心の西鉄にはほとんど付いておらず、地域による差もかなりあったようです。ちなみに、上欄の製造銘板も、今の角形スタイルになる前は、この車外用の銘板をデフォルメしたデザインでした。
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こんなのもありました |
上欄の銘板が、あまりに時代を超越したデザインだったせいか、貸切車などに向けたこんな車外用の銘板が付けられたこともあります。アルミではなく、恐らくアクリル製ではないかと思われます。西工の最大の特徴は、欧州でいうところの「コーチビルダー」的な存在にあり、そこを「コーチ」の表記に込めたのでしょう。初代C型の、それもかなり初期の頃に取り付けられていました。
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地名表記は、小倉だったり北九州だったり、いずれにしても工場の所在地を最後までプレートに入れていたのは、ローカル色が強い西工なりのこだわりの部分だったのでしょう。ただ、工場によく行っていた皆さんからすれば、西港町とかバス専用道の日明のほうが印象が強いかも?!
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