「ジャブロー」21:00
連邦軍士官学校、そこではきたる反抗にむけ、多くの若者達が日夜訓練に励んでいた。
新たに開設されたモビルスーツ訓練課程の候補生ヨーコ・スザク准尉もその一人だった。

訓練課程では常にトップの優等生な彼女だったが、今日の彼女の表情は曇っていた。
同じ訓練班の同級生が訓練中のミスで、上官の車を破壊したのだ。

すっかりしょげ返る同級生の姿を後に、班長として出頭を命じられたヨーコ
「なんとかエリミネートだけは撤回してもらわないと」

『スザク訓練生出頭しました。サー』

ヨーコの前には葉巻を燻らせる校長のランバート大佐。噂ではルウム戦役で失態を犯し、閑職にまわされたという話だ。
出頭する度にいつも自分の身体を嘗め回すように見つめる男を彼女は嫌っていた。

「さてスザク君。彼の処遇だが・・・・不名誉除隊と決まったよ。」
『校長、今回の件は班長の私の責任です。どのような処罰でも受けるつもりであります。ですから彼の処罰についてはどうか、寛大な・・』

「ほう・・どのような処罰でも受けると・・」
ランバート大佐は立ち上がり、ヨーコの前に歩み寄った。
「君は確か、孤児だったな。」
『はい、』
「本来だと、君も責任を取って不名誉除隊になるところだ。そうなると君を養女にしたスザク少将も悲しむだろうな・・」

大佐は葉巻の煙をヨーコの顔に吹きかける。
『それは・・・』
「だが、私も寛大な男だ。君にチャンスをあげようじゃないか。」
大佐の脂ぎった指が制服越しに豊満な胸に触れる。

「いいかね。仕官たるもの何をもっても部下は守らないといかん。」
拒絶することは簡単だ。だが仲間の不名誉除隊、そして世話になった養父に迷惑がかかる・・そのことがヨーコの身体を強張らせていた。
男の腕が彼女の腕を掴み、豊かな胸元のファスナーに誘導する。

「私は強要しない・・・主席な君にはやることはわかってると思うが・・な」
自己犠牲の傾向が強い。時には非常になることも士官としては重要だ。
訓練時、教官から指摘されたヨーコの特性。それが彼女には災いしていた。

その2