『これじゃまともな宿にはありつけそうにないか・・』
女冒険者リュウセイはつぶやいた。
旅の途中立ち寄った村は、すでに廃墟と化していた。
最近野党の襲撃でも受けたのだろう、焼け野原となった村には村人の姿は見つからなかった。
『おや、まだ人がいたようね。』
リュウセイは目の前に現れた5人の男達を見つめた。酔っているのか足取りが不明瞭な連中。不揃いの武器、防具を身につけた男・・野党の類だろう。
「姉ちゃん、旅のもんか?・・ここにはもう食いモンはねえぜ。」
「俺達につきあえば今晩はいいもん食わしてやるぜ。」
野党の一人が彼女に歩み寄り、顔に酒臭い息を吹きかけた。
「いい乳してるじゃねえか。なあ・・こいよ。」
男はリュウセイの身体を頭から脚まで舐めるように見た。
挑戦的な瞳、鷲掴みしたくなる胸、細くくびれた腰、むっちりと張った尻。
一晩中暴力的に嬲ってやりたい・・淫らな妄想を駆り立てるには十分な身体だった。

男の手が胸に触れる。
『薄汚い手で触るな。』
「・・・なんかいったか?」
『汚い顔近づけるなっていってんだよ!!』
男の手を逆手に取り、蹴り飛ばす。
「お前、、調子に乗りやがって・・」
殴りかかっる男の拳を軽くスウェイでかわし、腹部にパンチをぶち込む。
力は男に劣るが、的確に急所をついた打撃に、男は胃液を吐いて呻く。
「てめえ!!!!」
両手を振り上げて突っ込んでくる熊のような男。迫力はあるが隙だらけだ。
『ハッ!!』
リュウセイのハイキックが男の顔面に炸裂する。
鉛を埋め込んだブーツの先端が顎を砕き男は悲鳴を上げる。

『次は誰だい?全員でもいいよ。』
ゲラゲラと笑ってみていた男達が色めき立つ。
『弱いものにしか威張れない、雑魚が何人きても同じことだけど。』

二人の男がダガーを抜く。
『武器を抜くと、怪我だけじゃ済まなくなるよ・・・』
リュウセイはため息をつくと、腰に下げたショートソードを抜いた。二刀流だ。
「こけおどしが・・・女が調子乗ってるんじゃねえよ!!」
男達がダガーを振り回し突進してくる。
リュウセイは苦もなく剣撃をかわすと、まるで舞うように男達の間を駆け抜けた。
「うげっ!!」
次の瞬間、ダガーを振り回していた男達は、急所を裂かれ血まみれで突っ伏している。

『後はお前だけだ。』
「た・・助けてくれよ・・・・」
ただ一人残った男はひざまずき懇願する。
『今更・・命乞いかい?』
リュウセイは男の首筋に刃を向ける。
『悪いが、アタシはお前らみたいな連中を見てると虫唾が走るんだよ。』

男の首筋を切り裂こうとした時だった。
ピシッ!!
背後からリュウセイの刀に、鞭が巻きついた。
『ちっ!!』
彼女は目の前の男を蹴り倒すと、振り返る。

【まったく、小娘相手に何を手間取ってるんだろうね・・・この役立たずが・・】
鞭の操り主は妖艶な雰囲気の女だった。女以外にも10人近くの男達がいる。
「あ・・・姐さん・・・・すまねえ・・・」
さっきの連中の仲間か・・・雑魚はなんとかなりそうだったが、姐さんと呼ばれた女は・・鞭さばきから見て結構手ごわそうだった。
チン!
鞭が生き物のように動き、リュウセイの手から刀がもぎ取られた。

残った刀を構え間合いを計る。
【へえ・・なかなか美形じゃない・・・気の強そうなところも好きよ。】
女は舌なめずりして、リュウセイを見つめる。
『野党になんか好かれたくないね。』
女を睨み、少しずつ間合いを詰めていくリュウセイ。
【ツレナイわね・・ハイッ!!!】
女の鞭がリュウセイを襲う。
間一髪でかわした・・・はずだったが、予想以上に伸びる鞭先は、彼女の上着を切り裂いていた。
巨乳が切り口を押し開き、左胸の先端が露になる。

【あらあ・・・ピンク色の可愛い乳首がこんにちわしてるわよ。】
「!!」
とっさに注意がそれ、胸を隠そうとする。一瞬の隙
【今よ!!】
ピュッピュッ
不意に四方八方から投擲された捕獲用鉄枷にリュウセイは対処が遅れた。
『しまったっ!』
彼女の両の手、足にそれは食い込んでいた。

【これじゃ、ご自慢の武術も使い様がないわね。】
野党の女は勝ち誇った笑みを浮かべた。


つづく