フッ、フッ
人間の身体をたやすく切り裂く必殺の鉤爪を軽いフットワークでかわす美香。
『これで本気なの?期待はずれだわ』
突き出された腕に飛びつき、丸太のような腕を固める。
変身した姿の力はいかほどなのか、獣人の腕からは間接が破壊される嫌な音が聞こえる。
「グハアア!!!」
獣人は力任せに腕を美香ごと持ち上げると、そのまま地面に叩きつける。
『うぐっ』
衝撃で関節技を振りほどかれる美香、そこに一撃を加える獣人だが、彼女は間一髪でそれを避ける。
『でも腕一本もらったわよ。』
だらりとぶら下がる片腕にほくそえむ美香。
「ウワオーーーン」
獣人は雄たけびを上げた。背中の毛が逆立ち硬質の針鼠と化す。
「グルルルルルルウ」
うなり声と共にトンボを切るとそのまま高速回転を加え突撃する。
美香を吹き飛ばし、そのままジャングルジムに突っ込む。鉄製の遊具が飴細工のよにひしゃげ瓦礫と化した。
『痛ぅ…』
とっさに腕でガードした美香であったが、硬い針によって胸元が大きく切り裂かれていた。極薄ながらも銃弾もはじき返す装甲が。
風船に裂け目が入ったように装甲ははじけとび、美香の両房が露になった。
『なかなか、やるじゃないの…』
異形のモノの前でも恥ずかしいのか、片手で胸を隠し立ち上がる美香。
「マテ」
攻撃のモーションに入る彼女を制止する獣人。
「イマノデヨブンナチカラヲツカッテシマッタ。シバラクヤスマセテモラオウ」
『待つわけないでしょ。その身体今度はこっちが切り刻んであげるわ。』
「アセルナ。ヨキョウハヨウイシテイル」

背後からの気配に美香は振り向いた。
一目でわかる。公園にたむろしている路上生活者達だ。10人近くいる。
ただしよろよろと動く動作とは裏腹に目はランランと狂気に光っていた。
「オレノハリヲウチコンデアル。オンナヲカルタメノイヌガワリダ」
『犬コロ風情が何いってるの?』
「オマエノメスノニオイツヨイ。ミンナオマエニヒキツケラレル」
男達は美香を取り囲んだ。
「シバラクニンゲンドウシアソンデロ」

美香は苦戦していた。
男達には殺意は見えない。それはズボンの上からでもわかるほど勃起した男根を見れば明らかだ。彼らはただひたすらに美香を犯すために襲い掛かっているのだ。

本来なら普通の力でも倒せる相手だ。しかし、操られているとはいえ人間相手に力を使うことにためらったため、戦いあぐねているのだ。
しかも痛覚が麻痺しているのだろう普通の人間なら気絶する程度の力では何度も立ち上がってくるのだ。
動きを止めるには…殺すしかない…

「ドウシタ?ドウゾクハコロセナイヨウダナ」
『キャンキャンうるさいわね。』
目の前の男の股間を蹴り上げる。生身の男なら悶絶するだろう。
しかし男はひるむことなく襲いかかり、むき出しの巨乳につかみかかる。
すでに背後からは別の男が首に腕を回し、空いた片手で尻肉を荒々しく揉んでいる。
満足に力が使えないのでは多勢に無勢だった。
脚に腰にしがみつかれ、美香は身動きできない状態になった。

『姑息な手を使うわね。』
目の前に近寄ってきた獣人を美香はにらみ付ける。
「ナカナカノエモノダ。ワレガアジワウマエニイヌニエサヲヤルトスルカ」
獣人の鉤爪が易々と美香の身体を覆う黒い皮膚を切り裂く


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